Audibleなどのオーディオブックは気になるけど、「ながら聴きでも意味あるのか」「集中して聴かないと頭に入らないのでは?」
と疑問に思う人も多いと思います。
私はこの記事をオーディオブックを聴きながら書きましたが、内容はあまり覚えていません。
「やっぱり意味ないじゃん!」と思うかもしれませんが、ブラウザバックはもう少し待ってください。
これは「文章を書く」と「話を聴く」を同時に行う場合の相性が悪いためで、ながら聴きそのものの問題ではありません。
結論から言うと、オーディオブックのながら聴きは「何をしながら聴くか」を選べば十分意味があります。
この記事では、
- 同時に行う作業の難しさと理解度の関係を調べた研究
- 軽い運動をしながら聴くことが記憶に与える影響を調べた研究
- ながら聴きの相性をよくする・悪くする条件を説明する理論
の3点から、ながら聴きが意味のある形になりやすい条件を整理します。
「なんとなく不安」「なんとなく良さそう」といった感覚ではなく、根拠にもとづいて始めるかどうか決められるので、使うにしても後悔しにくくなります。
自分が生活のどういうシーンでオーディオブックを聴くかを照らし合わせてこの記事を読めば、ながら聴きが自分にとって意味があるかが分かります。
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ながら聴きは条件を選べば意味がある
ながら聴きは条件を選べば十分意味があります。
ただし何をしながら聴くかによって理解しやすさは大きく変わるので、判断材料になる研究をもとに成立しやすい条件を整理します。
根拠1:ながら聴きは、同時に行う作業の負荷が低い方が成立しやすい
同じ「ながら聴き」でも組み合わせる作業の難しさによって、聴いた内容の理解度は変わります。
参加者に英語のオーディオブックを聴いてもらい、音声だけに注意する条件、音声を聴きながら負荷の低い画面課題を行う条件、音声を聴きながら負荷の高い画面課題を行う条件を比べました。
各試行のあとには、聴いた内容について選択式の問題に答えてもらっています。
その結果、負荷の高い画面課題を同時に行った条件では、ほかの2条件より内容問題の正答率が低くなりました。
- 音声だけに注意する条件:88.96%
- 音声を聴きながら負荷の低い画面課題を行う条件:84.58%
- 音声を聴きながら負荷の高い画面課題を行う条件:65.63%
出典:Zilong Xie et al. “Cortical Tracking of Continuous Speech Under Bimodal Divided Attention” Neurobiology of Language, 2023.
「音声を聴くだけ」と「聴きながら負荷の低い課題」との比較では大きな差は出ませんでしたが、「聴きながら負荷の高い課題」だけ聴いた内容についての正答率に大きな差が見られます。
この研究から、負荷の低い作業なら普通に聴くのと大差ない理解を得られるが、負荷が上がると成立しにくくなる、と整理できます。
根拠2:ながら聴きは、軽い身体的な動きを伴う方が成立しやすい
じっと座って聴くより、軽く体を動かしながら聴く方が記憶に残りやすい。
そんな研究結果があります。
参加者に英語の単語リストを音声で聴いてもらい、座ったまま聴く条件、先に軽い運動をしてから聴く条件、軽い自転車こぎをしながら聴く条件を比べました。
学習の後には聴いた単語をどれだけ覚えているかテストしています。
その結果、軽い運動をしながら聴いた条件が最も多くの単語を記憶できていました。
- 座ったまま聴く条件:20.9語
- 先に運動してから聴く条件:24.6語
- 軽い運動をしながら聴く条件:28.4語
出典:Schmidt-Kassow et al. “Physical Exercise during Encoding Improves Vocabulary Learning in Young Female Adults: A Neuroendocrinological Study“ PLoS ONE, 2013.
「座って聴く」と「動きながら聴く」を比べると、記憶できた単語数に明確な差が出ています。
また「先に運動してから聴く」では差が小さく、運動は「前にやっておく」より「同時に行う」ことが重要なようです。
この研究から、歩きながら・軽い家事をしながらといった身体的な動きを伴う場面では、じっと座って聴くよりも記憶に効果的に働く、と整理できます。
根拠3:言葉の処理が少ない作業ほど、ながら聴きと組み合わせやすい
組み合わせる作業に言葉の処理が少ないほど、ながら聴きは成立しやすくなります。
人の脳には音声・言葉を処理する仕組みと、目で見た情報・体の動きを処理する仕組みが別々にあります。
この2つはそれぞれ別の役割を持っており、同じ仕組みを使う作業を重ねるほど邪魔は大きく、別の仕組みを使う組み合わせなら小さくなる、というのが基本的な考え方です。
そのため「音声を聴く」と「家事・散歩などの単純な動作」は別の仕組みを担当するため両立しやすく、「読む・書く・会話する」は言葉の処理が重なる分、ながら聴きの邪魔になりやすいということです。
出典:Hitch, G. J., Allen, R. J., & Baddeley, A. D. (2024/2025). The multicomponent model of working memory fifty years on. Quarterly Journal of Experimental Psychology.
この研究はオーディオブックを直接扱ったものではありませんが、なぜ特定の組み合わせだと成立しやすいのかを説明する根拠になります。
言葉の処理が少ない作業ほど音声の理解を邪魔しにくく、ながら聴きと組み合わせやすい、と整理できます。
単純な動作中心で、言葉の処理が少ない場面は向く
日常生活に当てはめると
- 散歩やストレッチなど軽い運動しながら聴く
- 洗い物や洗濯物をたたむなど家事をしながら聴く
- お風呂に入りながら聴く
- 単純な掃除をしながら聴く
などの場面があります。
言葉の処理が重なる場面は向かない
逆に向かないのは
- メールやLINEを打ちながら聴く
- 記事や本を読みながら聴く
- 文章を書きながら聴く
- 人と会話しながら聴く
などの場面があります。
ながら聴きに向く作品の選び方
ここまでは「何をしながら聴くか」という活動の条件を見てきました。
もう一つ重要なのが「何を聴くか」という作品選びです。
同じ条件で聴いても作品のジャンルによって、ながら聴きに向くかは大きく変わります。
オーディオブック利用者が実際聴いているジャンルはオーディオブックの活用法は?調査でわかった、みんなの使い方でもまとめています。
物語系は、ながら聴き向き
聞き逃しても話を追いやすいのは、物語系です。
物語文と説明文を比較した実験研究のメタ分析では、平均的に見ると物語のほうが理解されやすく、想起されやすい傾向が報告されています。
出典:Mar et al., 2021(PMC:https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8219577/ )
ただしこの研究は、普通に読んだときの「物語文と説明文」の比較で、ながら聴きそのものを調べたものではありません。
それでも筋のある話は追いやすいという性質は、ながら聴きでも働きやすいと考えられます。
会話や登場人物の感情で進む小説、エッセイや回想録などは、少し聞き逃しても流れで補えるので相性がいいです。
向きにくいのは知識解説・学術・歴史系
逆に聞き逃しに弱いのが、説明や解説が中心のジャンルです。
- 知識解説系(法律・税金・制度、投資・経済など数字の比較が多い本)
- 学術・思想系(専門書、哲学・思想など抽象度の高い本)
- 歴史系(通史・戦史など)
これらに共通するのは、少し聞き逃すと理解が崩れやすいことです。
具体的には次のような特徴があります。
- 数字を複数比較しながら理解する必要がある
- 用語や条件の違いを正確に追う必要がある
- 人名・時系列・人物関係を整理し続ける必要がある
- 抽象的な説明や論理の積み上げが中心で、途中から戻りにくい
- 図表・グラフなど、音声以外の情報が前提になっている
こうした本は、机に向かって集中して聴くか紙で読む方が向いています。
ジャンルは目安。最後は「聞き逃しても追えるか」で決める
ただしジャンルはあくまで目安です。
同じ物語系でも、向き不向きは作品によって分かれます。
伏線やトリック、緻密な時系列が鍵になる本格ミステリーは、一か所の聞き逃しで楽しみが損なわれやすいです。
独自の専門用語や設定が多いSF・ファンタジーも、用語を取りこぼすと話が入ってこなくなります。
だから最後はジャンルではなく、「聞き逃しても大筋を追えるか」で選ぶのが確実です。
聴き始めて次のサインが気になったら、別の作品に切り替えましょう。
- 人名が一気に出てきて、誰が誰か分からなくなる
- 知らない用語や固有名詞が連発する
- 場面転換が多く、いつ・どこ・誰の話か分からなくなる
- 1文が長く、説明が硬めで頭に入ってこない
- 少し聞き逃すだけで話が分からなくなる
ながら聴きの醍醐味は気軽さにあります。
合わなければ切り替える、という割り切りが続けるコツです。
まとめ 成立しやすい3つの条件|ながら聴きは「条件を選べば」意味がある
ながら聴きは「何をしながら聴くか」と「何を聴くか」を選べば、十分意味があります。
次の3つを満たす作業を選ぶとうまくいきます。
- 負荷が低い
- 軽い体の動きをともなう
- 言葉をあまり使わない
次に、聴く作品は次のように選ぶと失敗しにくいです。
- 物語系・エッセイなどから入る
- 知識解説・学術・歴史系は避けるか、集中して聴く時間にまわす
- 置いていかれるサインが出たら無理せず別の作品に切り替える
この2つの軸を意識すれば、ながら聴きは何でもOKではないものの、時間を増やしつつ学習やお話を楽しむ手段として十分意味があります。
この記事があなたの耳活の助けになれば幸いです。
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